一歩上の技術に挑戦!色紙にドローイングをしてみよう
2017/01/04

一歩上の技術に挑戦! 色紙にドローイングをしてみよう
タイトルの通り、今回は紙に色を付けて、その紙にドローイングをする手順を追ってみましょう。
デッサンの際、紙に色を付けることを「有彩下地」などと言います。
パステル用の紙としてキャンソン・ワトソン・マーメイドなどありますが、最初から色がついているものも販売されています。
私は最近なかなか、キャンバスにじっくり取り組むのもしづらいということもありまして、そんな時はドローイング作品に取り組むのが大変都合が良いものです。
今回紹介する有彩下地のドローイングは、もちろん表現として奥深いものですが、描くにあたっては、絵の具を使ったタブロー制作と違い、特別な準備は少なくて良いので、手軽に取り掛かることが出来るのが魅力の一つだと思います。
(西洋の古典作品と言えば、何といっても油絵が有名ですが、ドローイング作品も多く残っていて、私はそのドローイング作品が大好物です。有彩下地に書かれたドローイング作品もたくさん残ってますので、ぜひ皆さんも機会を見つけて、いろんなドローイング作品を見ることをお勧めします。もしかしたら、油絵より面白くなるかもヨ。)
●道具
今回使った道具は下記となります。
▼下記のようなパステル用の紙も販売されていました。
HOLBEIN (ホルベイン) パステル用 パステルペーパー A4 15枚天糊とじ YPS-A4
ミューズ パステル紙 パステルワトソンブック F4 190g ホワイト、ナチュラル、グレー 15枚入り PSW-2604 F4
オリオン パステル用紙スケッチブック ビバルデ F4 170g
・水彩・アクリル絵具(どちらでも)(ローアンバー・バーントシエナ・ビリジャン等)
ゴールデン オープン アクリリックス 60ml ※ロー アンバー※今回はこのメーカーのローアンバーという色を使いました。ゴールデンは各アクリル絵の具の中でも発色が良いので、私は特に地味系の色はこのゴールデンという絵の具でそろえています。
・鉛筆
【Caran d Ache/カランダッシュ】グラフウッド鉛筆【9B】 775-259 単品 【あす楽対応】
・白のソフトパステル(白コンテでもよいがソフトパステルの方が使いやすい)
ホルベイン ソフトパステル 36色セット※パステルは画材屋さんで、単色でも売っています。最初はセットで買わず、お店に行って必要な色を徐々に買い集めたほうが良いと思います。
※パステルはメーカーによって色だけでなく描き味もかなり違います。やはり高いもののほうが、発色だけでなく描き味も滑らかです。最初は必要な色を数色を、安物ではなく、ミドルグレード位の物を買うと、楽しく描けます。(余裕があれば、同じ色をグレード別に買って使い分けしてみると勉強にあります)
・フィクサチーフ
ホルベイン スプレーフィキサチーフ 300ml
●手順
イメージをもとに私の有彩下地ドローイング作品の製作手順です。
今回は自分で紙に色を付けますが、最初から色のついた紙もありますので、自分で描く場合は描き方や手順を独自に工夫してみましょう。
イメージを固める
今回はイメージをもとに、私のドローイング作品の製作手順です。
それでは、手順を追ってみてみましょう。
まずは、どんなものを描くかイメージを探っていきます。
描いたり消したりを繰り返しながら形を決めていきます。
一度紙に絵の具を塗って乾くと、下の鉛筆の線は消えませんので、鉛筆の線を見直して、整理しておきます。
そしてこの後、紙に色を塗ることを想定して、鉛筆の色が濃いところを薄くしておきます。
紙の目をつぶさないよう練消しゴムで、トントンと軽く抑えるようにして、鉛筆の黒鉛をとっていきます。
この段階で注意するのは、強い筆圧で描いたり、消しゴムでゴシゴシ消したりして、紙の目をつぶさないことです。
なぜかというと、強い筆圧で紙にダメージを与え紙の目をつぶしてしまうと、あとで使うパステルが乗らなくなるためです。
描きながら何を描くか決める自信がなければ、別の紙でエスキースをして、バッチリ決めてから本番の紙に描くのが良いでしょう。
鉛筆でイメージをとる前に、紙に下色を塗ってもよいのですが、うまくイメージ画を描くことができなければ無駄になりますので、最初に下絵を描いています。
紙に色を塗る
大体の形が決まったら、上から色を塗ります。
水張り
この時、面倒でなければ、紙を水張りしておくとよいでしょう。
水張りをすることで、乾いたときに紙が丸まることを防ぎます。が、私の場合、ちょっとしたドローイング程度だったら面倒なので、水張りせず、乾いて丸まったら、反対側にまるめなおすだけでそのまま描いちゃうことも多いです・・・。(^^;
今回は簡単に水張りをしました。
▲裏から水を塗り
▲表を上にしてパネルに設置。柔らかい布で、空気を抜く。
▲四隅をテープで張ったら、水張り完了。
今回は、どこにでもある素材でできるということを伝えたかったので、ガムテープで止めましたが、ほんとは水張りテープを使うとよいです。
彩色
それでは紙に色を塗りましょう。
色は、ローアンバー(raw umber)という色を塗りました。
あまり筆後は残したくないので、縦横に塗りました。
紙に塗る色は何でもよいのですが、あまり主張しすぎず、暗めな色を塗ります。
明るすぎたり暗すぎたり、または彩度が高すぎる色は、この後描きにくくなります。
ローアンバーや、バーントシエナ、ビリジャン等なら、間違いないところかと思います。
明るい黄色や赤、また蛍光色などは、下地の色にはあまり向かないですので、注意してください。
絵具紙に塗って乾くと塗ったときより色が明るくなります。もし、1層塗ってまだ明るすぎると思ったら、乾燥後にもう1層塗るなどして、明度調整をしましょう。
描き込み
紙が乾きました。
それではここからは描き込みをしていきましょう。
鉛筆のみ
まずは、最初に描いた線をベースに、明暗で言うところの「暗」の部分をより書き進めていきます。
パステルのみ
今度は白のソフトパステルで、明るい箇所を描き進めます。
色幅が広がり、大分立体的になってきました。
注意点としては、一生懸命描くがゆえに全体を塗りこめてしまい、真っ白にしてしまわないという点です。
せっかく下地に色を塗っているんだから、その色味を生かしたいので、一歩引いてちょっと冷静に。(これが誰にでもできれば学校はいらないですけどね)
いったんパステルのみで描けるところまで描きました。これ以上パステルを載せようとしても、下のパステルが剥離して、色が乗りにくくなってきました。
そこで、一度フィクサチーフをかけて乾燥させます。
ソフトパステルですが、木炭を使ったことのある人はなじみがある感じだと思いますが、はじめて触ると戸惑うと思います。
ただ紙に書いただけでは、粉っぽくて、形になりにくいです。
なので、ソフトパステルで紙に色を置いた後、指でトントンと抑えながら、トーンと整えながら描いていきます。
パステルと鉛筆
描きこみも終盤に差し掛かってきました。
定着液(フィクサチーフのこと)も乾燥したので、さらにパステルと鉛筆で明暗両側のバランスを見ながら描き進めていきます。
ここまで来たら外観の要素はほぼ出そろいました。
鉛筆ですが、かなり濃い物を使っています。
「9B」です。
たぶんマックス。
通常の鉛筆デッサンではまず使うことはないですが、顔料を固めただけのパステルと一緒に使うには、通常の2B/3B程度では負けてしまうので、特に黒くしたい、ここぞというところは9Bを使ってます。
そしてまたフィクサチーフをかけて乾燥。
パステルと鉛筆描きこみ完成!
さらに地の色を意識しつつ、パステルと鉛筆で細部を描き、完成!
これで今回は完成としました。
有彩下地のドローイングはどうでしたか?白い紙に黒のみで描くデッサンより、ちょっとリッチな雰囲気になりました。
玄関やレストラン、喫茶店などで、額に入れて飾っても良いでしょう。
この記事では、カトウのイメージ画でしたが、もちろんモチーフを見ながらの、デッサンでも同様に描くことができます。
これまで白い紙に描くのデッサンにちょっとなれたら、難易度は上がりますが、チャレンジしてみる価値はあると思います。
新たな気づきが必ずあります。
ちなみに、ここに色や明るさについて、セオリーや私の経験をもとに書きましたが、答えではありません。
色々と試して、自分はこれがいいという答えを探してくださいね。
また、経験やその時自分がはまっている物によっても答えはいろいろと変わってきます。柔らかく柔軟で実験的な気持ちが大事ですよ。
それではまた次回!
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