影を付けてデッサンに立体感を出そう~ストロークについて
2017/01/04
今回立体感のあるデッサンを描くための、影のつけ方を鉛筆の線の向き(ストローク)の面から紹介していきます。
陰影をつけることで立体感を表すことができるわけですが、ただ明暗を追っていくだけではなく、鉛筆などで引いた線の向きでも立体感を表現できます。
まずは下記の図を参照ください。
どうでしょうか。ポコッと出っ張って見えませんか?またはへこんで見えた方もいるかもしれません。
ではこれを応用してこちら。
こちらは円柱と四角柱に見えませんか?
つまり明暗によらなくてもある程度立体的な表現をすることができるのです。
以前デッサンを習っていた方ならモチーフの形に添って鉛筆を動かしましょうと教わった方もいるかもしれません。いわばこの線がモチーフの形に当たります。
しかし、このモチーフの形を表す線ですが、上記画像のような1方向のみとは限りません。
ひとつの面でもいくつもの方向の線で表すことができます。
例えばさっきの画像では横の線の動きで表しましたが、今度は縦の動きで形を探ってみましょう。
このように物の形を表す線というのは1方向ではないことが分かったでしょうか。 今度は二つの方向を重ねてみましょう。
複数の線を重ねたほうがよりその形がはっきりと見えてきますね。
つまり影を描写する際、ただ黒く塗るのではなくそのモチーフの形を理解し、その形に添ったストロークで描いていくことで、より立体的で存在感のある描写をすることができるのです。
では実際に鉛筆で描いてみましょう。
四角柱
今回、モチーフは用意しなくて大丈夫です。想像で描きます。
頭の中で円柱と四角柱を想定して描いていきます。
光源は左上からあたっているものとします。
使用した鉛筆の硬さは2B、H、2Hです。
まずは四角柱からです。
最初は説明画像と同じく、線は横ストロークから始めました。
ここで注目してもらいたいのは四角のみならず、床面も描いているところです。
これはこういった具体的なものを描くときの割と重要な要素で、そのモチーフがどういった状況にあるかということを説明することで、よりリアリティが出てきます。
今度は縦のストロークを意識して影をつけています。
この段階で重要なのは明暗の段階です。
今回のモチーフでは大まかに言って、明るさは3段階に分かれます。
1番明るいのは上面、2番目は手前の左面、そして3番目は手前右面となります。
難しいところではありますが、鉛筆のストロークの向きにばかり気が行ってしまい、大きな明暗の差を見逃さないように描いていきます。
さらに縦と横の線を何層にも絡み合わせながら書き進めます。
角部分の形が切り替わる部分の黒色が濃く描かれています。
今回のようなはっきりと形が変わるモチーフの場合、境目をはっきり書くことでパキッとしたクリアな印象で描くことができます。
実際こういった明と暗が極端なモチーフの場合、実際よりより明るさ暗さが強く見えますよね(私だけでしょうか?)。
完成
円柱
次は円柱をデッサンします。
全体の明暗を見るため、細かいタッチになると思われる横ストロークではなく、縦ストロークから始めました。
円柱のぐるっとまわりこむ形を描くため横のストロークで描き出します。
ただし、この横の線ですが、綺麗な半円形で描くのは難しいため、形に添った短いタッチで少しずつ描いていきます。
明暗の差がなくなってきましたので、明暗を意識してつけます。
こちらも四角柱と同様に、床面は意識的に描きます。
完成
こちらは円柱の横ストロークを丁寧に追っていくところがポイントとなります。