位置の測り方-組みデッサンの場合
2017/01/04
複数のモチーフを配置した、組みデッサンをする場合。
画面内のモチーフの位置を測る手順について説明します。
対象になるモチーフが一つの場合は、形が取れても、それが複数になると難しさはぐっと増します。
皆さん、たぶん一見楽しそうな描きこみに早く進みたくて、この最初のモチーフの位置関係を測る工程をおろそかにしがちな方もいるのではないでしょうか。
しかし、私はこの工程がきっちりできていると、最後まで気持ちよくデッサンできます。また、デッサンが完成した時の完成度にもとても良い影響が現れます。 もう修正できないところまで描き進めているのに、位置や、形の違いに気付いたら、もう気分最悪です。
写真のようにモチーフを組んでみました。
カトウならこのモチーフの形をとるときどういう手順とするか考えてみました。たどってみましょう。
※形のとり方は一通りだけではありません。
今回はできるだけ単純な手順でできるよう、進めてみたいと思います。
全体のあたりをつける
それでは、初めて行きましょう。
まず、大事なのは、最初は全体を一つのモチーフとしてとらえることです。
画面にどのように入れるかを考えながら、フリーハンドで当たりをつけていきます。
ここで、画面の中にどのように配置するかを検討していきます。
ここである程度妥当なサイズ感を割り出せるかは、クロッキー力がものを言うように思います。
クロッキー力のある人なら、フリーハンドであたりをつけても、大体狂いのない形が取れます。
クロッキーってなんじゃろ?
広辞苑によると、 「クロッキー【croquis-フランス】短時間でする写生。速写」とあります。フランス語なんですね。
速写というのはしっくりきます。
実際には、デッサンと違い、いちいち形を測ったりせず、10分、5分、30秒など、超短時間でモチーフの特徴をとらえて、描くことを言います。
練習としてクロッキーを行う際のメリットは、1枚にかかる時間が短いので、数をこなせます。
なので、上達が早いということと、
街にクロッキー帳を持っていけば、人物・動物・車・・・などモチーフには困らない点です。
モチーフが止まっている間に描き上げないといけないので、なかなかスリリングですよ。
個別に一つ一つ見るのではなく、全モチーフをひとまとまりのものとしてみることで、各モチーフの関連性を意識します。
★コラム
各要素の関連性が大事と描きました。
しかし絵画作品としては、同じ場にあるのにもかかわらず、モチーフの関連性を断ち切って描くことで現れる不自然さを表現するというコンセプトの作品というのも面白いとは思います。
が、訓練としてのデッサンという視点で見ると、全体を調和させるように描ける技術を修得したいところです。
自然に描けた上で、あえて不自然に描くからこその面白さだと思います。
ポイントの位置を測る
モチーフによりますが、高さは、測るのではなく、画面に対してどれくらいのサイズで入れるか、自分で決めます。
今回のような場合は、縦長の構図ですので、画面いっぱいに配置してよいでしょう。
とりあえず、測りやすいところから測っていきます。
この画面の中で、確定できるサイズはどこでしょうか?
モチーフ全体の天辺から底辺の縦軸。
もしくは
モチーフ全体の左端から右端の横軸。
このどちらかの軸は自分で決めます。
そして、これをサイズを測る際の基準にします。
今回、ビンの頭まで全部入れたいので、縦軸を基準とすることにしましょう。
ビンの底の位置

ビンの底までの比率は、持っている鉛筆などを使って測ります。
測り方は、下記の記事を参照してくださいね。比率を測る:形の取り方
では次に形をとりやすいところで、ビンの底の位置を測ります。 なんでビンかというと、ビンの底の位置がわかると、全体の天辺がビンの頭ですので、底さえわかればビンの高さが出るからです。 ※同じ理由で、右下のパプリカでもいいですね。
図を見るとわかると思いますが、全体の縦軸を1とした場合、ビンの底は、下から1/9弱の位置にあることがわかります。
マトとパプリカの高さも測る
同じ要領で、トマトとパプリカの縦軸の位置を測ります。 そうすると図のような感じで、ポイントが取れる思います。
横軸の位置
要素の縦位置は取れました。 それでは今度は横位置を測りましょう。
今回中央付近にビンがありますので、これを起点にしていきます。
ビンの位置は、全体の中心よりやや右寄りに位置しているようです。 画面の中心よりもやや右寄りにチェックをします。
そうしたら、今度はビンの横幅を割り出します。 ビンの横1に対して、ビンの縦4コ弱くらいですね。
そして割り出したビンの横幅の半分の長さを、ビンの中心位置より左右にマークすることで、ビンの位置が割り出せました。
そして、中心からパプリカの長さ。中心からトマトまでの長さを測ることで、全体の幅の位置を割り出します。
あとは、端からパプリカとトマトの幅を測ります。
これで画面に全要素の位置を描きこむことができました。
お疲れさまでした。いかがでしたか? この段階が初心者にとって大きなハードルとなります。
まだ形をとるベースを用意できただけですが、この段階で位置をきちんととれていないと、この先いくら一生懸命描いても、修正がきかなくなるので、気持ちよく描き切ることができません。
反対にこのベースが正確にできていると、最後まで気持ちよく描き進めることができるものです。
挫折しやすい工程ですが、皆さんにはぜひ乗り越えてほしいハードルです。
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